企業健診の対象となる従業員の範囲

一般健康診断（雇用時・定期健診）の対象となるのは、職種に関係なく企業が常時使用している労働者です。正社員をはじめ、ある一定の条件をクリアしているアルバイト・パートタイマーが対象となります。

労働安全衛生法におけるアルバイト・パートタイマーの対象条件は、「無期契約で週所定労働時間が75％以上」「雇用期間が1年以上の有期契約で週所定労働時間が75％以上」です。当初の雇用期間が半年間であっても契約更新によって1年を超えた場合は、正社員登用の有無にかかわらず企業健診の義務が生じます。

また、社会保険は協会けんぽと健康保険組合に分けられ、協会けんぽの被保険者は、生活習慣病予防健診の受診が可能です。協会けんぽの特定健診では、40歳以上74歳までの加入者（家族）が受けられます。

企業健診はいつ実施する？

常時使用している労働者の場合、雇用時のほか、1年に1回のタイミングで一般健康診断を受けさせなければなりません。また、労働安全衛生法第13条により、特定業務に従事している労働者には、雇用時と6ヶ月に1回の定期健診のほか、当該業務への配置が決まった時点で健診を受けさせる義務があります。

海外派遣労働者の場合、海外派遣前と帰国時にそれぞれ1回ずつ健診を受けさせます。ただし、一時的な帰国であれば受診の義務は発生しません。

給食従業員の場合、定期健康診断は義務ではなく、雇用時と配置決定時に検便を行えば問題ないとされています。

健康診断費用は企業負担となる？

従業員の健康診断は企業の義務のため、健診費用は全額企業負担となります。一般的な健診費用は10,000円程度です。企業は従業員に対して指定の医療機関で健診を受けるように通知できます。なお、従業員が任意の医療機関で健診を受けることも可能です。その場合、従業員が健診結果を企業に提出する必要があります。

また、一般健康診断の場合、健診にかかる時間を労働時間に含める義務はありません。ただし、近年ではメンタルヘルスにおける企業責任が重くなっており、厚生労働省では「企業健診は労働時間であり給与を支払うべき」との指針を出しています。

なお、特殊健康診断の場合は労働時間に含める義務があり、業務時間外に健診を受けた場合は割増賃金を支払う必要があります。

健康診断を受けさせなかった場合の罰則はある？

企業には従業員に健診を受けさせる義務があり、違反した場合は50万円以下の罰金が科せられます。従業員にも健診を受ける義務がありますが、受けなかった場合の罰則はありません。ただし、企業の就業規定に受診義務について明記されていた場合、懲戒処分の対象となる可能性があります。

再三にわたり健診の案内を出したにもかかわらず、従業員がそれを無視した場合、企業が管轄の労働基準監督署に健診の通知を出した証拠となる書類・データを提出すれば、罰則の対象とはなりません。

健康診断実施後の企業側の義務

健診実施後、企業は受け取った結果について以下の義務を負います。

• 従業員への通知
• 健康診断個人票の作成および保管
• 外部に対する秘密保持

常時使用している労働者が50人以上の企業の場合、管轄の労働基準監督署にすべての従業員の健康診断個人票を速やかに提出しなくてはなりません。また、従業員が指定以外の医療機関で健診を受けた場合は健診結果を産業医に共有し、健康上の懸念事項があれば健康管理のための助言を求める必要があります。

なお、健康診断個人票の保管期間は企業規模にかかわらず5年間とされています。

マイヘルスクリニック神田院では、人間ドックや各種健診に対応しております。協会けんぽご加入の方も受診可能です。